「――あたしだったら・・一歩で華麗に飛び越えちゃうのにッ」 それを目前にして得意気に白い歯を見せるなぎさ。 そんな彼女をはた目に、ほのかは少し心配そうな苦笑いを見せるのだった。 なぎさには、六月の中旬なんてものは何とも憂欝な時期に思えて仕方なかった。 まず、連日のように続く中途半端な天気は何よりも彼女の気分を曇らせる。 さらに、高等部はこの時期テスト期間真っ只中で、これが彼女の心を何色に塗り潰すのかは言うまでもないことであった。 「・・・あーあ・・」 駅に近づき速度を落とし始めた電車の窓に額を押しつけながら、なぎさはため息混じりに呟いた。 「・・どうして昼から晴れてくるわけ?」 視線の先には、一ヶ所だけ小さく曇ったその窓をゆっくり流れていく街の風景。 空は半分以上が灰色の雲で覆われているものの、その合間をぬって太陽の光が薄らと差し込んでいる。 雨はというとすっかり上がってはいるが、午前中のそれに濡らされた街は所々に点々とその面影を残していた。 「・・仕方ないでしょ?梅雨の時期なんだし・・・」 「・・・・・・」 だが、返事の無い背中。 「それに・・」 そんななぎさの機嫌をとろうと、続けて澄んだ声が彼女の背中にそっと添えられた。 「・・受けとめ方を変えてみたら梅雨だって風情があって素敵だと思うけど?」 「あたしは梅雨なんか大嫌いなのーッ」 「・・・もぅ・・最近ずっとこうなんだから・・・」 ほのかの言葉を一閃。耳もくれずに相変わらずの様子で外を眺めるなぎさであった。 そんな彼女の目の前の風景もすでに窓枠を駅のホームに譲り、今度は雑然としたそれが彼女の茶色がかった瞳をゆっくり流れている。 そして、それがさらになぎさの不満を大きくしていくのであった。 「なぎさ?着いたわよ」 「・・降りたくない・・・」 「そんなわけにはいかないでしょ?」 言いながら先にほのかが立ち上がるが、隣のなぎさはその重い腰をなかなか上げようとしない。 これからなぎさの家で始まるテスト勉強へのちょっとした抵抗である。 「・・・もう・・」 その姿を見かねて強引に彼女の腕を取るほのか。続けた言葉は無気力ななぎさにも効果的なものであった。 「・・ちゃんとテスト勉強しないと遊園地・・行かないわよ?」 「・・それは嫌だ・・・」 「じゃあ早く降りる準備しましょ?」 「・・・はーい・・」 テストを乗り切る励みにしていたほのかとの約束。 さすがにそれは大切で水に流すわけにはいかないのか、彼女は渋々ながらも素直にほのかの白い手に従うのだった。 「忘れ物はない?」 「うん」 「傘は?」 「・・・あっ!」 「・・もぅ・・・」 彼女らしいようならしくないようなその姿に、ほのかはわがままでおっちょこちょいな子供を一人授かったような気分になり、開いたドアの前から心配そうな笑顔。 「なぎさッ、急いで」 「・・・分かってる」 そんな二人を乗せた電車はホームで彼女ら他数十人を降ろすと、すぐに次の駅を目指して走り始めた。 そして同時に響く機械の音が消えていくと、やがてやかましいホームは再び雑然とした建物へと戻っていくのだった。 「・・・あーつーいー」 「ちょっと、なぎ・・」 改札を出てたった数歩。突然目の前で立ち止まったなぎさの背中に、ほのかは正面からドンとぶつかった。 何事かとその顔を覗くと、先程と同じく、無気力を顔に書いたなぎさがぼんやりと駅の外を眺めている。 車内のやりとりから少しは彼女もしゃきっとするかと思いきや、それを邪魔するようにまとわりつく湿気がさらになぎさの気分を損ねていたのだった。 「なぎさったら・・」 結局まるで自分に無関心ななぎさ。そんな姿にほのかはため息混じりに呟いた。 「・・最近ずっとこうなんだから・・・」 だが、やはりその声もなぎさの耳には届かない。 寧ろ逆に続いたのは彼女のペースだった。 「・・・ほのか?」 「どうしたの??」 「ジャンケン――」 振り返るなりいきなり前触れなく始まったそれ。 だが、よく分からないままも、その声にほのか手が勝手にハサミの形となって反応した。 「――ポンッ」 結果はグーとチョキ。つまりなぎさの勝ちである。 いつもならこんなことにでもいちいち大袈裟に喜ぶのが彼女。 だが、今日はそんな様子もなく相変わらずの調子で続けた。 「アイスキャンデー・・ほのかの奢りね」 「ちょっと・・」 「いいのいいの」 先程から駅の外を眺めていたのはつまりそういうことである。 なぎさの手がほのかの指三本をキュッと掴むと、そのまま出口のほうに向かって力が入った。 そしてすぐに自然と指が絡み合う。 手を繋ぐだけでも暑いなぎさのはずだが、どうやらこれは気にはしないらしい。 「一本だけよ?」 「うん」 相変わらずのわがままぶりを発揮し続けるなぎさであるが、そんな彼女に付き合ってやるのもまたほのかのいいところ。 というより「暑い暑い」と言いながらも手を引いて人波に乗っていくなぎさはやはりいつものなぎさで、少しばかり嬉しくなったのであった。 駅前のコンビニでアイスキャンデーを二本購入。 すっかり世話役に納まったほのかは、それを袋から出して隣のわがまま娘に手渡してやった。 「はい、なぎさ」 「んっ?ありがと」 歩きながら、なぎさは差し出されたアイスキャンデーを口で受け取った。 冷たい感覚が彼女の体を巡り、これで少しばかりは機嫌も直るだろう。 だが、それを手に持ちかえると、二三度ペロリと舐めながら呟くのは相変わらずの不満であった。 「・・・どうしてこんなに晴れてるのに雨が降ってるわけ・・」 確かに今は晴れているのだが雨は降すっかり上がっているはずで、意味不明なことをぶつぶつ続ける彼女。 だが、ほのかには言いたい事がよく解った。 気にくわないのはどうやら、先程から傘の先でつついている水溜まりのようである。 「そういえば・・」 ふと思い出したほのかが人差し指を唇に触れながら言った。 「・・今回はまだ自主トレ・・できてなかったわね」 「・・ありえない・・ありえない・・」 「・・・もぅ・・」 「梅雨なんてホント・・ありえないんだから・・・」 だが、先程からまったく自分の話を聞かないなぎさに、今日何度目かの小さなため息。 なぎさの不機嫌の理由はつまりこういうことである。 本来高等部はテスト期間中は全ての部活動が休止し、もちろんラクロス部も例外ではない。 だがそんな中、なぎさは毎日一時間だけ自主練習をすることをテスト期間の日課としていたのであった。 「・・・私は・・雨も嫌いじゃないけど・・・毎日なぎさと一緒に・・」 終始同じような調子のなぎさがそれを聞いているはずもないのだが、ほのかは途中で言葉を詰まらせた。 雨が降ればなぎさと共有できる時間が一時間以上も増えるということ。 なぎさには申し訳ない気もするが、ほのかはそれを秘かな楽しみとしていた。 ただ、こんなにも彼女が無気力でわがままになってしまうのは少しばかりの誤算でもあった。 「・・って聞いてないわよね」 隣に目線を流すと、一段と晴れ間が広がった空を見上げながらアイスキャンデーを口の中で回すなぎさ。 さらにもう一方の手に持つ傘をズルズルと引きずりながら水溜まりを分けていく姿にほのかは一転クスリと口元を緩めた。 (・・ふふ、なぎさったら小学生みたい) 話を聞いてくれない不満よりもその子供のような姿が勝ったのか、歩きながらそんななぎさの姿をしばらくクスクスと眺めるほのか。 時折、隣の車道を車が走って水溜まりがしぶきを上げるたびに、キュッと制服のブラウスの裾を引っ張ってなぎさを守ってやる。 やはりほのかには梅雨の時期も悪くはない。 心の中でひとつなぎさに謝りつつ、そんなことを考えながら足元の小石をチョンと蹴った。 小石は次の水溜まりまで転がるとピタリと止まってそれを静かに震わせた。 それから、その小石の行き先を見届けると、ほのかは再びなぎさに視線を戻す。 「・・・えっ・・?」 が、逆に意外にも自分をジッと見ていた彼女と目が合い、思わず声を洩らすのだった。 「・・どうしたの?」 しかし返事は無い。 この時ほのかは、なぎさの目線が向けられているのが自分ではないことなど知るわけもなかった。 「・・な、なぎさ・・・?」 黙ってジッと見られるのは少し怖いもので、ほのかは引きずった笑顔を作る。 と、次の瞬間... 「・・あっ!?」 なぎさの手がほのかの手首を掴み、自分のほうに引き寄せたアイスキャンデーをパクりと口にするのであった。 「もうッ!なぎさッ!」 「んっ、おいしッ」 つまり、先程からジッと見つめていたのはその手にもつアイスキャンデーだったのだ。 しかもあろうことか、噛まないように大切に溶かしてきたそれをきれいにかじっていく始末。 ここまでくると、今日一連の流れがわざとなのではと疑いたくなるほどだ。 「なぎさのも・・」 別にそこまでアイスキャンデーに執着があるわけではない。だが、なんだか割に合わない気がして、ほのかは不機嫌に言った。 「・・ちゃんと貰いますからね」 「・・・・・・」 「・・もう・・・」 もちろん繰り返されるのはずっと同じ展開。 口の中のアイスキャンデーを溶かしてしまい再び自分のそれを舐め始めるなぎさは、やはり相変わらずの状態に戻っていた。 不機嫌に水溜まりを眺め、その中にポツンとある小石を傘の先で軽く弾く。 小石は少し転がったところで何事もなく静止した。 「・・・なぎさが悪いんだからね」 そんな先程と同じような光景を合図としてか、今度はほのかがなぎさの手をとって引き寄せた。 だが、無気力でもなぎさはやはりなぎさ。 結果は失敗。もう一方の手に持つ傘の柄でほのかの唇を塞ぐと、残りのアイスキャンデーをすぐに口に運んでしまったのであった。 やはり食べ物への執着に天気は関係ないようである。 ただ、いつもなら「甘い甘い」とニヤリと勝ち誇る彼女なのだが、 今日に限っては再び水で濡らされた街を不機嫌に眺めながら歩く。 「・・いじわる・・・」 そんななぎさに、彼女にはめずらしく少しほっぺを膨らませながらほのかは小さく呟いた。 ただ、もちろんそれが今のなぎさに届くはずもなく、再び同じように二人並んで歩いていく。 「・・・ねぇ、ほのか?」 だが、ほのかの願い叶ってか、しばらく歩いた所で意外なくらい簡単になぎさの機嫌が戻ることになるのであった。 なぎさに促されて見た先には、赤と黒のランドセルが仲良さそうに揺れていた。 手を繋いで歩く小さなカップルは、長靴で水溜まりをバシャバシャと進んでは楽しそうに顔を見合わせる。 そんな中、なぎさが目をやるのが、女の子が大切に抱えるなぎさのよりも二回りほどは小さいであろうクロス棒であった。 「あたしにもあったな・・あんな頃」 懐かしそうに女の子を眺めるなぎさを横目にほのかも小さく頬笑む。 無邪気で明るい彼女は誰かさんとそっくりに見え、自分の知らなかった頃のなぎさがそこにいるような気がしたのだった。 「・・・ふふ、あの子・・」 元気一杯の少女にクスリと、ほのかがなぎさの横腹をつついた。 「・・未来のなぎさかもね」 意外な事が彼女の憂欝を吹き飛ばし、ようやくなぎさらしい返事が返ってきた。 「えー、あたしはもっとこう可愛かったけど」 「じゃあなぎさは小学生の頃は男の子とお付き合いしてたんだ?」 「・・それは・・・」 「それは??」 「・・もうッ!どうせあたしはほのかと違ってモテませんよーだッ!」 口を尖らせていじける姿はやはりいつもの彼女。 そんな彼女に嬉しくなり、ほのかも明るんだ笑顔を揺らす。 それから目の前の小さなカップルに心の中でありがとうを伝えるのだった。 「ねぇ、なぎさ?」 「・・んっ??」 今度はほのかが促してまたもや揃って二人を見守る。 ちょうど大きめの水溜まりに差し掛かったのか、二人はその前で立ち止まって話していた。 そして、やがて女の子が得意気に宣言すると、ランドセルを預けてその水溜まりと対峙するのだった。 「・・やっぱりそっくりじゃない?」 「そうかな?」 どうやらいいところを見せようと目の前の水溜まりを飛び越えてみせるつもりらしい。 そんな彼女はこだわりまでやはりなぎさとそっくりで、ほのかは小さく吹き出してしまった。 「ちょっと、ほのか?」 「・・ふふ、何でもないわ」 あまりにおかしそうに笑うほのかになぎさは少しムッとするが、今までのお返しとばかりにきれいに受け流すほのか。 と、そんな二人がなにやらやりあう中、女の子は少し助走を取って水溜まりに向かって走ると、そのままピョンとジャンプした。 「・・・あっ・・」 「あの子にはちょっと無理があるわよ」 だが、それは彼女が飛び越えるには少しばかり大きすぎたのか、着地と同時に水しぶきが上がる。 結局、照れ笑いを見せながら男の子からランドセルを受け取ると、再び二人は手を繋いで仲良く歩いていくのであった。 「あたしだったら・・一歩で華麗に飛び越えちゃうのにッ」 同じ水溜まりを目前にして得意気に白い歯を見せるなぎさ。 そんな彼女をはた目に、ほのかは少し心配そうな苦笑いを見せた。 「雨で滑りやすくなってるしやめといたほうがいいと思うけど・・?」 「大丈夫だってばッ。あたしを誰だと思ってるの?」 誰かって――おっちょこちょいでわがままで、でもそんなところがたまらなく好きななぎさ。 さすがにそんなことを口にできるはずもなく、ほのかは仕方なさそうになぎさの鞄を預かるのだった。 「ちょっと、ほのか?ちゃんと見ててよね」 「・・・もう・・滑って転んでも知らないからね」 得意気にまぶしい笑顔を咲かせるなぎさとは対照的なほのかの心配顔。 だが、こうなったら何を言っても聞かないのがなぎさである。 それに、自分にいいところを見せようとしているその姿に悪い気はしない。 「・・よーし」 ほのかの忠告になど耳も貸さず傘をクロス棒代わりに構えるなぎさ。 それから軽快に助走を潰すとフワッと宙に舞った。 (・・・あっ・・) その姿にハッとするほのかの脳裏にフラッシュバックしたのは試合で最も輝く瞬間のなぎさの姿。 それが目の前の彼女に重なり、完全にほのかの瞳を独り占めした。 いつだってなぎさは輝いて見えた―― 「ほのか・・?」 そんなほのかの前で見事に着地を決め、なぎさは得意気に胸を張った。 「・・ちゃんと見てた?」 「・・ふふ、ちゃんと見てたわよ。転んじゃうんじゃないかって心配だったんだもの」 「もーッ、だからこのあたしが転ぶわけないじゃんッ」 見合わせるなり小さく吹き出してしまう二人。 ――やはりなぎさはいつもほのかの中で輝いている。 それかたとえ今日のような無気力でわがままななぎさであろうとも。 「・・・えっ!?」 「・・あはは・・・」 鞄をほのかから受け取ると、なぎさの指がそっとほのかの手に溶け込んだ。 先程とは違って今度は自分の元に引き寄せる手。 それに身を任せ、ほのかはそっとなぎさに肩を寄せて歩いた。 「今日はごめんね」 「・・どうして?」 「だって・・」 急に改まって少し恥ずかしそうに俯き、傘で水溜まりをつつきながらなぎさは言った。 「・・今日ずっと機嫌悪くしてたからさ・・・」 「そんなこと全然気にしてないわよ」 「ホントに?」 「ええ。だって週末は泊まり込みでテスト勉強するんでしょ?」 「えっ!?・・いや、それは・・ちょっと・・・」 テストなんて言葉は鬼門で急な計画に完全に困るなぎさに隠れてクスリ。 少しくらい意地悪してやろうと彼女なりのささやかな仕返しであった。 ほのかは困るなぎさにプイとそっぽを向いて続けた。 「なぎさが話を聞いてくれなかったり、わがままばっかり言っても私は全然怒ってないわ」 「・・ホントに?」 「ええ、なぎさがアイスキャンデー食べた事も私・・全然怒ってな・・」 「ちょ、ちょっとタイム!そういえば週末はほのかん家で勉強会だったよねッ!」 結果、隣でペロッと舌を出して笑うほのかがいるとも知らないなぎさは、思惑通りすっかり慌てているのであった。 「そんな大事なこと忘れちゃダメじゃない?」 「あはは、今度からは気をつけるからさ・・その・・?」 「・・その?」 「機嫌直してくれると嬉しいな・・なんて・・・?」 「だからさっきから私・・」 これくらいで仕返しも十分だろう。ほのかは満足気にその楽しそうな笑顔をなぎさに見せてやった。 「・・全然怒ってないわ」 「・・もぅ・・いじわる・・・」 「怒ってなんかないってちゃんと言ったじゃない」 完全に手のひらの上で転がされたなぎさはプクッと頬を膨らませて拗ねている。 だが、すぐにそんなことを意識の片隅に追いやる事ができるのもまた彼女。 「まっ、いいかッ!」 すぐにニカッと元気な笑顔を取り戻すと、再びほのかの手を引いて歩き始めた。 そんななぎさに肩を寄せながらふとほのか―― 空は相変わらず灰色だし、街は相変わらず朝の雨の気配を残している。 それに湿気はまるで欝陶しい気分を探しているかのようにまとわりついてくる。 ――それでもやはり梅雨も悪くないと小さく頬笑んだ。 と、しばらく歩いたところでふとなぎさが立ち止まって空を見上げた。 それにつられてほのかも歩を休める。 「・・・ねぇほのか?」 「どうしたの?」 一度子供のような眼差しでほのかを見つめるなぎさ。 それから続けてほのかを空に促して呟いた。 「明日・・晴れるかな?」 「・・・そうね・・確か天気予報は・・」 梅雨も悪くはない。でもやっぱり―― 晴れ間に覗く太陽にニコリ。そんななぎさに、ほのかは澄んだ声で言い直した。 「・・ううん、きっと晴れるわよ」 ――晴れた日の太陽のようななぎさが好きだ。 ほのかが言うと本当に晴れるような気がする。 その言葉に、なぎさはパッと笑顔を弾けさせた。 「だよねッ?」 「ええッ!」 「よーしッ!じゃあ早いところ今日の分の勉強終わらせよっか」 「・・ふふ、頑張りましょ」 そしてほのかの手を握ったまま大きく背伸びを一つ、二人は時折顔を見合わせながら、再び水溜まりの道を進んでいく。 ――明日晴れるかな? 明日はきっと晴れるに違いない。 |